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施政方針(令和6年度)

町長施政方針


 昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類に移行したことを受け、社会経済活動が正常化の方向へ進んできたことは、明るい希望となりました。一方で、物価高騰や人手不足等の影響により依然として厳しい状況に置かれ、課題解決に奔走した1年でもありました。

 私事で恐縮に存じますが、町長に就任してから、今年の4月で10年が経過することになります。この10年間、様々な新規事業に取り組みながらも行財政改革に挑み、近年ようやく町の財政が上向き安定してまいりました。これまで町の舵取り役として歩んで来ることが出来ましたのも、町民皆様の温かいご支援と多大なご協力の賜物と、心から感謝いたしております。3期目も折り返し地点に差し掛かろうとしておりますが、今後も長野原町の未来のために全身全霊を捧げる覚悟でございます。
 昨年は「つなぐ」「育てる」「共に創る」という3つのテーマのもと、選挙公約として掲げた8つの目標を軸に事業を組み立て、様々な施策に取り組んでまいりましたが、引き続きこの8つの目標を町の指針の1つとさせて頂きます。

 改めて8つの目標をご提示致します。

8つの目標とは

1、まちづくりに必要な交通対策

2、情報格差の解消

3、災害に強いまちづくり

4、学校統合と空き校舎の利活用

5、農林福連携から始めるバイオマス産業都市構想

6、デジタル化の推進

7、新たな観光スタイルの発信と教育旅行の誘致

8、希望をもって暮らしていける地域づくり

であります。

 この8つの目標を乗り越え、「生きる力を育む町」を町民皆様と共に創っていくために令和6年度の予算を考えさせて頂きました。予算の総額は48憶5,378万5千円でございます。
 8つの目標を基に、私の町政に対する所信の一端を述べさせて頂きます。

1、まちづくりに必要な交通対策

 自動車を使用出来ない住民(学生や高齢者)や観光客等に対して移動手段を提供し、日常生活を支えることを目的として地域公共交通活性化協議会を立ち上げ、長野原町地域公共交通計画を策定いたしました。令和5年度は喫緊の課題であったスクールバスの最終調整やタクシーチケット導入の検討を進め、高校生の通学支援バス実証実験などを実行いたしました。4月に浅間小学校が開校することによって、当面の学校統合計画が完了いたします。スクールバスに関しては、いくつかの課題は残したものの、経費やマンパワーが危ぶまれる中、今出来る最善のルートとタスクを組み立てました。今後、利用者の数や環境など状況が変化していくことが想定されるため、毎年ブラッシュアップや変更を加えていく必要があります。ただ、スクールバス事業にかかる費用は年間約8,600万円にものぼることは注記すべき点と考えます。利用者や保護者の気持ちに寄り添いながらも、経常経費とのバランスを考え実行していく必要があります。 

 昨年の暮れから高校生通学支援バスの実証実験を行ったところ利用者の数が想定を遥かに下回る結果となりました。令和6年度はこの結果を踏まえ、費用対効果も考慮しながら支援のあり方を再考してまいります。また令和6年度は高齢者や障がい者に対して、町が8割を助成するタクシー利用助成事業を開始いたします。デジタルでの運用も検討しましたが、先ずは誰もが利用し易いタクシーチケットを購入して頂く方法で試行させていただきます。更には地域公共交通活性化協議会のメンバーである事業者が4月より八ッ場エリア周遊バスの運行を開始することも申し添えさせて頂きます。

 行政が行う公共交通の支援において、全ての交通弱者の方々を平等に、同じ条件で救うことは難しいことであります。「本当に困っている事は何か?」「本当に必要な物は何か?」という生の声に寄り添いながら、限られた予算の中で効果を最大化する為に、ある程度のトライアンドエラーを重ねて行く事が必要であると考えます。更に、長野原町には4社のバス会社とタクシー会社並びに介護タクシー会社の各2社が町内で運行しており、東西に鉄道も走っております。町としては外出支援バスや福祉バスも運行しており、これら全ての公共交通をマッチングさせることが交通弱者を救うキーポイントになると考えます。

 今後とも『地域と人を繋ぐ公共交通』という基本理念のもと10年後、20年後を見据えた長野原町の地域交通を考えてまいります。

2、情報格差の解消

 長野原町公式アプリと町独自のプラットフォームを構築してから1年以上が経過致しました。昨年は、この長野原町の取り組みが全国各地の自治体から多くの注目を集め、大きな反響をいただきました。アプリのダウンロード数も4,000件にまで伸びてまいりました。ただ、これで町の情報格差が解消されるとは考えておりません。今現在このアプリで町の全ての情報を網羅出来ているわけでもありませんし、アプリを使わない方や使えない方も一定数いることも事実であります。  

 「1人でも多くの皆さんが使いたいと思えるアプリ」「高齢者の方でも気軽に使えるアプリ」を目指し、いつの日かこのアプリが長野原町のスタンダードになることを信じて改良を重ねてまいりたいと思います。

 昨年はアプリやプラットフォームの継続的進化を目指す為にコンソーシアムを組成し、様々な業界の方や学識経験者から多くのアイディアを頂くことが叶いました。当初、アプリの進化が最大の目的でありましたが、論点は町づくりにまで発展し、長野原町のシビックプライドを醸成することが1つのテーマとなりました。今後、町づくりと並行してアプリもブラッシュアップしていく考えであります。


 黒電話を使っていた時代に、携帯電話などはアニメの世界だけの物でした。その携帯電話も今では子供から高齢者まで万人が利用するツールとなっています。DXも長野原アプリやプラットフォームも良いものを作れば必ず長野原町の当たり前になると信じていますし、情報格差の解消にはデジタルが必要不可欠であることも間違いないと思います。ただ、デジタルが苦手な方や使うことが出来ない方々のことを救うことも忘れてはいません。それには人の手や声を使って教え伝えていくアナログの力が必要になります。人と人との繋がりの希薄化に拍車がかかってしまった昨今、デジタルとアナログは相反する言葉ですが、もう一度アナログの力を使ってデジタルを通して地域コミュニティを再構築して行くことが出来れば、それは素晴らしいことだと思います。

 いずれにしても長野原町の取り組みが全国のロールモデルになりつつあるこの流れを活かし、様々な民間企業の皆さんとの繋がりも大切に、飽くなき挑戦を続けてまいる所存でございます。

3、災害に強いまちづくり

 令和6年の年明けは災難が相次ぎました。特に石川県で最大震度7を観測した能登半島地震は自然の猛威をまざまざと見せつけられる結果となりました。

 行政としてインフラの整備や長寿命化を実行していくことは当たり前のことですが、そこに携わる土木建設業の皆さんには感謝申し上げながらも、今後もしっかりと予算措置を行ってまいります。ただ、それだけでは近年の激甚化する自然災害の脅威には抗うことが出来ないということもよく分かってきました。

 「災害が起きた時、いかに住民が主体となって動くことが出来るか?それを行政がいかにサポートできるか?」そのあたりに焦点を当て準備をしてまいりたいと思います。

 未だ自主避難計画策定地区は四地区だけに留まっております。防災に必要なことは、先ずは関心を持つことであり、それから自分事として捉え、考え、行動することであります。自主避難計画はその地区で共に考えることから始まります。まさに防災の第一歩であると私は考えます。令和6年度は議会の災害対策特別委員会にも協力を依頼し共に意識を高め、共に創っていきたいと考えております。町としてはBCP(事業継続計画)と受援計画の策定、並びにあらゆる災害において想定される避難行動要支援者のリストアップを進めてまいります。また、防災の拠り所である西部消防署長野原分署の建設が始まりますが、吾妻広域町村圏振興整備組合と連携協力のもと町民の為の防災拠点になるよう、整備を進めてまいります。

 今、東京都などの都市部の自治体は大規模災害における広域避難場所の確保を求めております。長野原町も浅間山の大規模噴火等における広域避難場所を確保しなければなりません。縁あって、東京都江戸川区の斉藤区長とお会いする機会がありました。あくまでも大義名分は広域避難でありますが、平時から交流を深めていくことを目的に良い関係を構築できるよう話を進めていきたいと考えております。

 また、一昨年から包括連携協定を結んでおりますNTTドコモグループと大手電力会社の支援をいただき防災と避難に役立つアプリ機能を町のプラットフォームに追加する計画であります。

 いずれにしても防災は一朝一夕に成しうるものではありませんし、行政や役場職員だけで作り上げるものでもありません。あくまでも町民一人一人が主体者となり、町も議会も民間企業も力を合わせて、今出来る長野原町の総力で創り上げてまいります。

 災害に強い町とは、災害が起きた時に主体的に向き合える町であり、長野原町がそうでありたいと思いますし、そうなるように私も力を傾注してまいる所存であります。

4、学校統合と空き校舎の利活用

 私が委員長となり学校統合検討委員会を立ち上げた平成30年度から6年が過ぎようとしております。今年の春に北軽井沢小学校と応桑小学校が統合する新生 浅間小学校が開校しますと、当初予定した当面の統廃合計画が1つの節目を迎えます。PTAの皆さんや教育委員会をはじめ学校統合準備委員会の皆さん、工事業者の皆さんやバス運行会社の皆さん、そして何よりも全ての児童生徒の皆さんへ心から感謝し、御礼申し上げます。

 学校統合の問題は他の町村を見てもわかる通り、地域の分断をも生み大問題に発展していくことが少なくありません。当町におきましても苦難困難の連続ではありましたが、ここまで漕ぎ着けることが出来ましたのも、携わってくださいましたすべての皆さんのご理解とご協力の賜物であると確信しております。

 ただ、真の学校づくりはこれからが本番です。学校統合に関しては、全ての皆さんが100パーセントご納得して行えるものではありません。不安や不満があることも重々理解しています。しかし、先ずはこの現状を受け止めて頂き、その上でどのようにしたら子供たちが明るく元気に幸せな学校生活を送ることが出来るかということを町全体で考え、共に創っていくことが大切であると思います。

 今後、子どもの数が更に減少することは目に見えております。我々は少ないことを悲観するよりも、誰一人取り残されず全ての子ども達の可能性を引き出す共生社会と地域や家庭で共に学び合う社会の実現に向けた教育を真剣に見出すべき時が来ていると思います。更には、この素晴らしい自然や環境の中で学べる有難さや長野原町の素晴らしい伝統や文化を我々大人がしっかりと享受して、子ども達と向き合い伝えていくべきであると考えます。

 学校統合が一段落した今、将来を見据えて町を越えた広域での学校連携を模索したいと考えています。令和6年度にも具体的に動き出す予定であります。また、こども園の給食調理や子ども館の運営を民間委託し新たな風を吹き込む計画であります。 

 「子どもの声をなくさない」というコンセプトのもと進めてきた応桑小学校の利活用事業は無事詳細設計が完了しました。令和5年度末に廃校となった校舎の改修工事が令和6年度当初に開始されることは快挙と言っても過言ではありません。診療所をはじめ薬局やコンビニエンスストア、誰もが集えるパブリックスペースや屋外の子ども公園がメインのこの施設は「子どもの声」ばかりか赤ちゃんから高齢者、あるいはお母さん方の笑い声や笑顔がこぼれる空間になることを信じております。利活用が一番難しいと考えられていた応桑小学校が先陣を切ることが出来たのは大きな意味があると考え、これをロールモデルとして次につなげていきたいと思います。

 他の空き校舎に関しても良い話を頂いておりますので、具体的に整ってきたところで議会や地域の皆さんに相談させて頂きたいと考えております。

 私はかねてから日本の公教育に疑問を抱いておりました。「このままで本当に良いのだろうか?」「育てることを最大の目標に掲げているが、果たして現況が育てる環境と育つ環境にあるのだろうか?」などと自問自答している毎日であります。これも具体的なことを申し上げる段階には至っておりませんが、長野原町から日本の教育に一石を投じたいと考えております。

 これは長野原町の未来への挑戦です。令和6年度はその第一歩を踏み出します。

5、農林福連携から始めるバイオマス産業都市構想 

 昨年、長野原町の計画が認められ国からバイオマス産業都市選定地域の認定を受けました。目的は長野原町の豊かな自然や環境、あるいは豊富な資源や財産を最大限に利活用し好循環を生み出し、循環型の町づくりを進めることにありました。更には世界的な目標であるSDGsに全町をあげて向き合うこと、そして最大の狙いは2050年カーボンニュートラル実現のため長野原町が率先して行動を起こすことでありました。

 残念ながら令和5年度は、目標の1つとしていた町民皆さんの理解と意識の醸成には程遠い年になってしまいました。この結果責任の一端は私にありますが、現在の計画は、全ての町民を巻き込む計画では無かったことが最大の原因だったと分析しております。そこで令和6年度はカーボンニュートラルを最大目標に掲げ、計画を再検証してまいります。但し、バイオマス産業都市構想の計画を作り直すということではなく、従前より申し上げていた脱炭素先行地域の選定を受ける為の計画を策定し、バイオマス産業都市構想も包括的に捉えていくという考えであります。現在連携協定を結んでおりますNTTドコモグループの大きな支援を頂き具体的な計画策定を始めたところでございます。この計画は町の基幹産業である酪農業や耕種農業はもちろんのこと林業や土木建設業、観光業にも波及するものであり、何よりも全ての町民に関わってくるものであります。そのために町民一人一人の行動変容を促し意識を醸成していかなければなりません。

 2050年まで四半世紀ありますが、未来の子供たちにとって嬉しいプレゼントを贈ることが出来るかどうかは、我々の行動に懸かっています。八ッ場ダムの事業は計画から約70年もかかりましたが、脱炭素先行地域の計画はポスト八ッ場と言っていい程の壮大な構想になります。これは今を生きる我々の為の計画ではありません。未来を生きる長野原町民の為の町づくり計画です。したがってこの計画は役場全庁で進めていくものであり、課を越えた連携なくして成し得るものではありません。未来ビジョン推進課を中心に課を越えたプロジェクトチームを組成し、威信を背負って取り組んでいく所存でございます。

 これは長野原町の未来への挑戦です。令和6年度はその第一歩を踏み出します。

6、デジタル化の推進

 2の 情報格差の解消でも申し上げましたが、長野原町が構築したプラットフォームや取り組みが全国各地の自治体から多くの注目を集めております。全国でいくつもの自治体が長野原町と同じ取り組みを行っていくという報告を受けており、問い合わせや視察も増えている状況です。令和6年度は脱炭素に関することや防災に関することの機能拡充を計画しています。

 従前にも申し上げた通り長野原町のDXの取り組みの支援に民間の企業が手を挙げて下さっております。当町のような小さな町ではDXの開発費用は単費や補助金だけでは賄いきれません。以前から私は民間との共創が町を救うポイントになると申し続けてまいりましたが、心強い企業と手を結ぶことが出来たことは大きな収穫であり、心より感謝いたしております。

 これからも町民の皆さんが便利になるDX推進を考えて行くと共に、役場庁内のデジタル化にもメスを入れていきたいと思います。これに関してもトップダウンでは良いものは創れません。脱炭素と同じように課を越えたプロジェクトチームの編成が必要不可欠と考えます。

 ただ、デジタルがすべてとは思っておりません。なぜなら人間自体がデジタルになり得ないものだからです。コロナ禍において人と人との繋がりの希薄化に拍車がかかり、人々のコミュニケーション能力も低下してきているように感じます。デジタルとアナログは不可分の関係にあると思いますが、まさにアナログ的な力が強い人こそが、デジタルを推進する力があると私は思っています。役場庁内でも自ら考える力やアナログ力または人間力を強化するとともにデジタルを推進してまいります。

 これも長野原町の未来への挑戦です。令和6年度は更なる一歩を踏み出します。

7、新たな観光スタイルの発信と教育旅行の誘致

 コロナ禍の影響により、長く続いた水際対策は入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行者の受け入れも解禁された結果、昨年の日本におけるインバウンドは急速に回復しました。2024年は過去最高になるとの見通しが示されています。

 町は令和5年度、インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成を目的にJTBと連携しモニターツアー等を実施しました。

 「モノ消費」から「コト消費」に消費の動向が変わってきているという中で、やはり長野原町のポテンシャルは非常に高いと考えます。『「あさま」と「やんば」を繋ぎ、町と旅行者の心を繋ぐ。』というスローガンを掲げておりましたが、豊かな自然や環境を体験するには打って付けの町であると信じています。令和6年度はインバウンドに限らず、旅行者の心をグッと引き寄せる発信の在り方をもう一度考え直したいと思います。今までにない発信を模索し、試みたいと思います。

 ふるさと納税を絡めた八ッ場ダムの放流イベントや、316段のフーチング階段を一気に駆け上がるレース「やんばスカイラン」も令和5年度に初めて開催し、どちらも高い評価を頂きました。浅間高原では今年で記念すべき30回目を迎えた「北軽井沢炎のまつり」に、近年では最も多くの観光客にご来場いただき、川原湯温泉では伝統の「湯かけ祭り」が4年ぶりの復活を果たしました。これ以外にも長野原町には他に誇れる伝統や文化、またはイベントが沢山ありますので、これらを更に磨き上げ新たな観光スタイルを発信していきたいと存じます。

 北軽井沢のホテルでは、九州地方にターゲットを定め誘客した結果、冬の閑散期に10数校の修学旅行を獲得しています。それを考えますと、他の教育旅行においてもターゲットを絞ることも1つの方法であると考えます。例えば、広域避難で検討を始めた江戸川区をフォーカスし教育旅行を誘致する方法もあると思います。もちろん教育旅行に限らずファミリー層や高齢者の旅行にも十分対応できる環境にあると思います。

 いずれにしても、当町において旅行・観光産業を盛り上げていくことは、この厳しい時代を乗り越えるための必須条件であると考えます。

 長野原町には頑張っている企業や注目されている会社が、いくつもあります。魅力のある人や面白い人も数多くいます。長野原町の観光を共に創っていく為に、その素晴らしい個の力を繋ぐことが我々行政の役目であります。

 長野原町の総力で旅行者をお迎えし、おもてなすことが出来る町でありたいし、そのような観光地を目指したいと思います。

8、希望をもって暮らしていける地域づくり

 苦しかったコロナ禍を乗り越え時代の転換点に立つ我々長野原町民が、もう一度しっかりと向き合い真剣に考えて行かなければならないことがあります。それは我々長野原町民の長野原町に対する愛着や誇り、あるいはブランドやアイデンティティなど、長野原町のシビックプライドを町全体で育てていくことであります。令和6年度はその一環として、詩人の谷川俊太郎先生と北軽井沢にフォーカスを向けたいと思います。コンサートや企画展をはじめ谷川俊太郎先生と北軽井沢の軌跡を町民の皆さんに紹介させていただく事業を序章として動き出し、世界の谷川先生が「心の故郷」と仰って頂いた北軽井沢にもう一度息を吹き込むことが最大の目的であり、町民のハートに火を灯していきたいと存じます。このプロジェクトは一過性のものではなく、まさに長野原町民の「ながのはら愛」を呼び起こすものであり、先ずは多くの文化人や芸術家たちが愛してやまなかった北軽井沢を舞台に事業を進めていきたいと考えています。「長野原町の思いを世界へ」「長野原町の愛を未来の子ども達へ」という思いと共に地域の皆さんのご協力のもと、共に創ってまいります。
 「希望をもって暮らしていける地域づくり」を担う町の職員が「希望をもって働いていける役場づくり」を行っていくために民間の力を投じることと致しました。目まぐるしく変化する社会の中で、ニーズや価値観が多様化し、職員一人一人の業務量も激的に増加しております。
 この厳しい時代背景の中で、職員がやりがい・働きがいを感じながら、主体的に貢献する意欲や姿勢を醸成し、一体感のある役場づくりを目指したいと考え、今回の決断を致しました。近年あらゆる民間企業と共創・協業を行っている中で職員の意識や姿勢が変わってきていることを実感しております。だからというわけではありませんが、組織改善にも民間の力をストレートに使いたいというのが私の考えであります。これまでの長野原町の伝統として職員に公費を投入することは、めったにありませんでした。しかし、この事業により職員の意識向上や職場改善に繋がれば、それはイコール生産性や住民サービスの向上に直結することになります。更にはこの取り組みが同じ課題を抱えている全国の自治体におけるロールモデルになり得る可能性があると私は信じています。「日本一働きたくなる役場・長野原町」というスローガンを掲げ、ワンチームで挑んでいく所存であります。
 今回の施政方針の中に「長野原町の未来への挑戦」という言葉を3回使わせていただきました。1つは「日本の教育に一石を投じること」。1つは「カーボンニュートラルを軸に町を創っていくこと」。もう1つは「DXの積極的な推進とアナログ力強化のロールモデルであること」の3つであります。
 令和6年度も「つなぐ」「育てる」「共に創る」という3つのテーマのもと、3つの「未来への挑戦」を視野に入れ、8つの目標を乗り越えることで町全体の生きる力を育んでまいります。

 

 以上、町づくりに対する私の熱い思いを込めて申し述べさせて頂きました。
 町民の皆様の期待と信頼に応えるため、令和6年度も全身全霊、粉骨砕身の覚悟で取り組んでいく決意でございます。また、誰一人取り残すことなく、まさに「オールながのはら」の精神で全力を尽くしていくことをお約束いたします。
 引き続き議員の皆様をはじめ町民皆様のご理解とご協力を賜り、格別のご指導とご鞭撻のほどを心よりお願い申し上げ、新年度に向けての施政方針とさせて頂きます。

 長野原町長 

萩原 睦男

お問い合わせ

長野原町役場 総務課 総務係

. 電話 0279-82-2244. FAX 0279-82-3115